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中山信弘・著作権法

著作権法

著作権法

待望の著作権法の体系書です。


「構想段階から既に10年有余」(本書・はしがきiv頁)を経て遂に公刊された著作権法の体系書です。著者は既に『マルチメディアと著作権 (岩波新書)』で新書の形では著作権法の概要を示しておられましたが,今回の著作は500頁を超える重厚なものとなっています。
本書の特色は,著作権法を体系的に,かつ特許などの比較も踏まえて分かりやすく記述していることです。参考文献や判例も豊富に挙げられており,さらに発展的な学習や研究をしていく上での大きな手がかりを与えてくれます。本書の中で繰り返し出てくる著者の主張は,著作権法は物権法類似の構成を取っているものの,それは借用であって,著作物の特性(例えば公共財としての性格)を踏まえた考え方をとっていく必要があるということです。現在の著作権法で直接行政法とかかわっている部分はかなり少ないですが,政策実現手段として権利交換ルールを定めたものと見れば,様々な行政上の手法との比較対象をより深めていくことはできるように思われました。
本書で説明されている事柄の多くは,ニュースなどでしばしば登場するものであり,そのため法律学の体系書でありながら極めて読みやすく分かりやすい印象を受けました。たとえ著作権法についてよく知らなかったとしても,頁数の制約がある新書よりこちらの方が読者にとっては著作権法のしくみをより理解できるように思いました。