柳沢伯夫厚生労働相の問題で自民党内は1日,自発的辞任による事態収拾を求める動きは沈静化に向かった。安倍晋三首相が「反省の上に職務を全うしてもらう」との方針を明確にした以上,尊重せざるを得ないとの判断だ。ただ,辞任論がくすぶる自民,罷免を求め審議拒否を続ける野党ともに,世論の風向きが読めないのが実情。各党とも与野党が対決する4日投開票の愛知県知事選,北九州市長選の結果を注視している。
「首相の下,閣僚は結束して予算委員会に臨んでほしい」。自民党谷垣派会長の谷垣禎一前財務相は1日の派閥総会で,与党単独で国会審議を進める執行部を支持する考えを強調した。昨年の党総裁選に出馬,敗北した谷垣氏が首相を擁護するのは,2人目の閣僚辞任となれば,安倍政権はもとより自民党へのダメージは計り知れないと考えるからだ。他派の総会でも,辞任は不要との意見が続出した。ただ,山崎派会長の山崎拓前副総裁は「世論の動向を占う自治体選挙がある」と述べ,4日の選挙結果を見て進退問題を判断すべきだとの考えを示した。両選挙とも与党が敗北すれば,首相は一気に窮地に立たされかねない。中川秀直幹事長は1日夜,国会内で坂本剛二国対副委員長らに「柳沢問題は選挙に影響していない」と述べ,党内を引き締めた。
時事通信の昨日付記事からです。争点が明確化しないまま接戦が続いているとされる北九州市長選挙でしたが,終盤になって外在的な要素が入ってきたようです。かつて福岡県知事であった奥田八二氏の選挙の時には,こうした国政上の争点が大きく影響したことが想起されます。投票日はいよいよ明後日となりました。