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Konstanz als Heimatstadt

福岡空港の混雑緩和策批判

福岡空港の航空機混雑対策として福岡県などが進める総合的調査で,北九州,佐賀両空港との連携案が「抜本的な対策とはなり得ない」とされたことに,北九州市側が猛反発している。調査結果通りに福岡空港への滑走路増設や新空港建設が実現すれば,「福岡ばかりが発展してしまう」と懸念を強めており,北橋健治市長は11月中旬,麻生渡知事に連携案の再検討を申し入れる予定だ。
「最もコストが低い案が外された理由がわからない」。北九州市内で10月上旬に開かれた総合的調査の説明会では,出席者から不満の声が上がった。
同市は,北九州空港の交通の便を向上させて利用客を増やそうと,市中心部と空港を結ぶ連絡鉄道整備を検討している。試算した事業費は,在来線の場合,600億〜640億円,新幹線では960億円。
一方,県などは,福岡空港の滑走路を増設した場合の費用を2500億〜7500億円,新空港を建設した場合は1兆〜1兆1000億円と見込んでいる。
北九州市側には,現在の福岡空港の利用者の一部を誘導し,北九州空港の利用者増につなげたい考えもあり,説明会に出席した企業幹部は「滑走路増設などより,鉄道整備の方が安上がり。費用対効果を議論する価値は十分あるのに,選択肢にすら入らないのはおかしい」と語気を強めた。
市議会も反発し,連携案の再検討を求める意見書を賛成多数で可決した。北橋市長は連携案について「最小限の投資で需要に対応でき,北部九州全体の発展にもつながる」と,麻生知事に再考を促すつもりだ。
一方,1998年に開港した佐賀空港は昨年度の利用者が約29万8000人で,当初の需要予測のほぼ半分。佐賀県側も福岡空港との連携に期待を寄せていただけに,佐賀県古川康知事は「近隣空港の評価が低く示されたことは大変残念。佐賀空港など既存施設の有効活用という視点から,今後議論が深まることを期待したい」と話している。
しかし,福岡県側の姿勢は厳しい。麻生知事は県議会で「(連携案は)利便性の問題が非常に大きい。福岡地域の皆さんに,北九州空港に行ってくださいというのは,納得が得られない」と明言している。
県空港計画課は「北九州空港への連絡鉄道が完成しても,福岡空港の混雑はあまり緩和されない」と指摘。そのうえで,「北九州空港を見捨てるわけではない。近隣空港も生かし,全体的に利用者が増える方向で検討したい」と理解を求めている。

読売新聞の昨日夕刊に出ていました。福岡空港の混雑緩和策として,近接する北九州・佐賀空港の活用は以前から主張されていました。とはいえ,空港利用者の立場からすれば,近隣空港に使いたい路線があればそこを使うのがある意味では当然のことであり,アクセス時間の短さと本数の多さから福岡空港が圧倒的優位にあるのは否定しがたい事実だと思います。
たしかに,北九州地域について言えば,現在の北九州空港の一般交通機関によるアクセスの悪さから,本来ならば北九州空港を利用しても良い客が福岡空港を使っている現象がみられるのでしょう。その人たちを引き付けるのに連絡鉄道は大きな意味があると思います。ただそれは福岡空港混雑緩和の主要な手段とは言えなさそうです。この手段の効果が期待できるのは,北九州空港へのアクセスも可能であり,かつ東京に用事があってスターフライヤーJALを利用したい人に限られるからです。
もちろん,福岡空港を都心から離れた海上に移転した結果相対的にアクセスが悪くなり,結果として北九州空港を使う人が増えるという可能性もあるわけですが...。