七隈線延伸問題
利用客が目標の半分程度に低迷している福岡市営地下鉄七隈線(12キロ)で,乗客の利便性を高めるためとして,市がJR博多駅方面と博多ふ頭方面に向かう2ルートで計4・8キロ延伸する計画案を作成していることが15日,わかった。事業費を1600億円と試算している。市は2011年春の九州新幹線鹿児島ルート全面開通に伴う博多駅乗り入れなどをにらみ,都心部の鉄道網強化の必要性を指摘するが,延伸には多大な費用など課題も多く,議論になりそうだ。
市の計画案では,七隈線の天神南駅から,市営地下鉄箱崎線の中洲川端駅付近を経て博多ふ頭などウオーターフロント地区に向かう「WFルート」(仮称,約2・3キロ)と,薬院駅からJR博多駅に向かう「博多駅ルート」(同,約2・5キロ)の2本の延伸を検討。
ただ,計画区間の地上は交通量が多く,中高層ビルの密集地区があるほか,地中も下水道や地下構造物などの問題がある。一部で民有地下を通過するため,特殊な工事や補償など事業費もかさむとみられる。試算では,1キロ当たりの建設費は約333億円となり,既設の七隈線の約221億円のほぼ1.5倍となる。
市が05年,七隈線の沿線住民を対象に行った意向調査では,博多駅方面への延伸や空港線への直接の乗り換えなどを求める意見が約8割に上った。市では,利用が伸び悩んでいるのは,他の地下鉄線と相互乗り入れしておらず,利便性が低いことが原因の一つと見ている。また,九州新幹線の乗り入れに伴う博多駅周辺の再開発により,流入人口の増加に対応した交通機関整備を図りたい考えだ。
七隈線は橋本(西区)―天神南(中央区)間を16駅で結ぶ。昨年4〜11月の1日当たり乗客数は5万7705人で,計画の5割にとどまる。
読売新聞の昨日朝刊(地域面)に出ていました。上記の博多ふ頭・博多駅への延伸は当初から計画されていた案ですが,利便性はともかくコストがかかりすぎるように思います。他方で,現在の七隈線では他の地下鉄路線との接続が不便なので,どこかに結節点を設ける必要はあるように思います。最も工事費がかからないのは中洲川端までの延長計画ですが,それが検討されていない理由は上記記事からはよくわかりません。