- 作者: 奥野修司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02
- メディア: 新書
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著者は90年代に花粉症になって以後,花粉症と闘い続けているそうです。幸い僕は花粉症ではなさそうですが,一定の閾値を超えると急に発症するという話に戦々恐々としています。
本書の1章では,著者がいかにして花粉症となり,また現に花粉の季節にはどのような苦労をしているかが書かれています。さまざまな民間療法を試して失敗したことや,結局のところ花粉に触れないようにするのが一番の対策であることが説明されています。その上で第2章では,なぜ花粉症が生じるのかを,さまざまな俗説を引きながら科学的に分析しています。後半部の3・4章では花粉症の社会的な要因として,戦後日本の林業行政の問題点が詳しく説明されます。針葉樹よりも広葉樹のほうがさまざまなメリットがあったのに,「儲かる」という観点から杉植林を推し進めたことが今日の花粉症の原因になっていると著者は主張しています。
花粉症についての断片的な知識はこれまでもありましたが,これだけさまざまな角度から書かれた本ははじめてでした。新書サイズではありますが,情報量としてはかなり多いように思われます。