ernst@hatenablog

Konstanz als Heimatstadt

住民投票

昨日,コンスタンツでは住民投票が行われました。


計画されていたコンサートホール
ドイツは連邦のレベルでの国民投票制度がない国として知られていますが,地方自治体レベルには住民投票(Bürgerbescheid)の制度があります。コンスタンツでは昨日,この住民投票が行われました。
争点となっていたのはコンサート・会議場(Konzert- und Kongresshaus Konstanz: KKK)を建設するかどうかです。コンスタンツにはコンサートホールがありません。現在は,コンスタンツ公会議の会場となったKonzilや近くの教会などが使われていますが,いずれもよい音響とは言えません。そこで1999年の都市計画マスタープラン(Leitbild)にこのコンサートホールの建設が盛り込まれ,建設予定地として,ボーデン湖沿岸のドイツとスイスの国境付近(小ベネツィア(Klein Venedig)と呼ばれる地域だそうです)が選択されました。2003年にこの問題で住民投票が行われましたが,賛成票が最低得票数(Quorum)に届かずにこの動きは一旦頓挫しました。2007年に都市開発計画が改定されて再びこの動きが始まり,2010年1月に市会(Gemeinderat)がもう一度住民投票にこの問題をかけることに決めました。
賛成派のポスター
ここ最近では街にポスター(特に賛成派のもの)が溢れていました。選挙運動は賛成派の方がかなり派手で,反対派はときどき街で見かける程度でした。政党別に見ると,保守系のCDUやFDPが賛成,左派のLinksparteiやSPDが反対の傾向でした。
その結果は,反対派の圧勝となりました。賛成票15189票に対して反対票は20800票で,反対票は最低得票数を上回りました。反対票は全体の2/3に迫る勢いで,また投票率は52.2%で前回の市会議員選挙を上回っていました(たしかに近くの投票所のギムナジウムでも前回のKommunalwahlよりも多くの人が集まっているように見えました)。
反対派が勝利した理由はいろいろあるように思いますが,最大の問題は財政支出にあったように思います。コンサートホールの建設費のみならず,その維持の経費,さらにはコンサートホールへのアクセス道路の整備などに巨額の費用がかかり,このことが建設反対に傾かせたのではないかと思います。Sparkasseなど市内の政治的に有力な勢力が賛成に回り,派手なキャンペーンが展開されていたのとは対照的に,反対の数がこれほど多かったのはやや驚きました。他方で,市の今後のお金の使い道をこのように明確な形で市民に問う手法は日本でも検討されて良いように思いました。