B.W.州で政権交代
コンスタンツも含まれるドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州で昨日,州議会議員選挙が行われ,58年間に亘って与党であったCDUが政権の座から陥落することが確定的になりました。新しい首相は緑の党から選出されることもほぼ確実で,州レベルではじめて,緑の党が首班となりそうです。ARDのサイトによる開票結果では,
・CDU:39.0%(-5.2%)
・SPD:23.1%(-2.1%)
・緑の党:24.2%(+12.5%)
・FDP:5.3%(-5.4%)
・左翼党:2.8%(-0.3%)
・その他:5.6%(+0.3%)
で,CDUは比較第一党ではありますが,CDU+FDPの議席数(67)は過半数とならず,緑の党+SPDの議席数(71)が過半数に到達するため,政権交代が確実となりました。緑の党への有権者のシフトはSPD支持者からの移動が最も多いようですが,従来保守系を指示していた層もかなり緑の党に流れたようです。
バーデン・ビュルテンベルク州はバイエルン州とならび保守の強いところであり,今回の政権交代は日本の2年前の政権交代と同等程度の意味合いがあると言えそうです。それでも今回の政権交代の可能性は随分前から予想されていました。最も大きな要因は,州都Stuttgartの再開発計画(Stuttgart21)です。この計画では駅を地下化し,高速新線を走らせることになっていましたが,反対運動が激化し,連日のデモ行進が起きていました。さらに追い打ちをかけたのが今回の震災での福島の原発事故です。メルケル政権は原子力発電延長政策を一旦猶予しましたが,猶予だけでは有権者の支持を得ることができなかったとも言えそうです(参考:南ドイツ新聞の記事)。
今回の選挙結果はドイツの国政に大きな影響を与えそうです。もちろんすでに与党が過半数割れしている連邦参議院の議席がさらに減少するという問題もあります。それ以上に深刻なのは,保守系(CDU/CSU/FDP)にとっての「発祥地」(Stammland)を失ったことです。固い支持基盤が大きく揺らぐ中で,現在の保守中道政権がどのような舵取りをしていくのかが注目されます。