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Konstanz als Heimatstadt

ストライキの国・ドイツ

【ベルリン中西啓介ドイツ国内最大の鉄道会社ドイツ鉄道で,断続的にストライキが行われている。ストは「今世紀最長」とされた今月5〜10日に続いて20日未明から再開し,数日間続く見込みだ。今週末の連休を前に利用客の不満は頂点に達している。
「皆さん,運転士たちを責めないでほしい」。ドイツ鉄道の運転士らで作る労組GDLのベーゼルスキー委員長は18日,新たなストを予告する記者会見で理解を求めた。10日までのストでベルリンでは,東京の山手線や中央線に相当する主要鉄道網が運休・減便し,大混乱となった。独公共放送ARDはストにより1日ごとに1億ユーロ(約134億円)の経済的損失が出ていると伝えた。
新たなストは25日まで続く予定。23日から3連休の独国内ではツアー旅行やイベントが企画されており,会社側は「利用者に対する嫌がらせだ」と憤る。
表面的には賃金など労働条件を巡る争いだが,GDLの強硬策の背景には政府による労働関連法改正への焦りがある。改正法が成立すれば,企業は最大労組と締結した労働協約のみを有効とすることができる。改正は7月上旬にも行われる見通しで,ドイツ鉄道労組で2位のGDLは実質的な交渉が難しくなる。「会社は法改正まで交渉を先延ばしにする気だ」と言うGDLの訴えからは,法改正前に存在感を示したい思惑が垣間見える。
ドイツでは5月に入り郵便事業会社の集配所でストがあり,一部の保育園や幼稚園でも無期限ストが続いている。だが,鉄道ストとは違い,社会的評価向上などを求める保育士らのストには賛同の声が向けられている。
ガブリエル副首相は独紙ビルト日曜版(17日付)でGDLのストを「賃金や労働条件を求めるものではなく権力闘争だ」と強い調子で非難。独メディアも委員長の手法を強く批判している。


毎日新聞の今日付記事からです。かつて(少なくとも前回の長期滞在時)は,ストの国=フランスというイメージでした。しかしドイツは今年に入って,航空機・鉄道・郵便・保育所(Kita)とストが続き,しかも鉄道のストは今月2回目とあって,ドイツのARDの全国ニュースでも昨日はついに「ストの国(Streikland)」という表現が使われました。
鉄道のストライキは,運転士たちの組合によるもので,前回のストライキと同様に,旅客の2/3が運休することになっています。コンスタンツからカールスルーエまでを結ぶIRE/REもかなりの間引き運転になる見通しです。昨年の9月から始まった一連の交渉は次第にエスカレートし,前回「史上最長」と言われたストライキの期間を今回は超えるかも知れないと言われています(*5/21追記:21日になってストライキは中止されました)。しかも今回は,ペンテコステ(Pflingsten)の祝日を挟む期間と重なるため,以前のストライキ以上に大きな影響が出ると言われています。物流面の影響も深刻で,自動車業界など,これまで鉄道による貨物運送に頼っていた業界では,トラックなどの輸送に切り替える動きも出ています。
同時期に行われている児童保育施設(Kita)のストライキも,一部でなお続いています。上記の記事ではポジティブな評価が与えられていますが,子どもを持つ親を中心にネガティブな声もしばしば聞きます。もっとも,児童保育施設で働く保育士は,ドイツでは警察官と並んで低賃金の職業とされており,コンスタンツのような物価が高い都市では生活ができないとも言われています。そのため,ストライキに対して一定の理解があるのも事実です。