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Konstanz als Heimatstadt

台風と鉄道(1)

再び鉄道バトン...ではありません。

台風14号による豪雨で二つの鉄橋が流失した,宮崎県延岡市高千穂町を結ぶ第三セクター高千穂鉄道」(本社・高千穂町)が存続の危機に直面している。八日,現地を視察した同社社長の黒木睦郎・高千穂町長は「全面復旧には,年単位の日数が必要で状況は厳しい。今月中にも論議したい」と語り,鉄道存続を含め近く結論を出す考えを示した。
同社は今後,沿線四市町などと八月に設置した存続の有無を検討する「高千穂鉄道検討委員会」で協議する。ただ,「被害額は数億円に上る」(黒木社長)とみられ,赤字経営が続く同社にとって厳しい判断を迫られることになった。
黒木社長は八日朝,被害を受けた北方町などの第一五ケ瀬川鉄橋(約二百三十九メートル)と第二五ケ瀬川鉄橋(約百六十三メートル)などを視察。「大きな被害が出た。簡単な補修では運行できない」と厳しい見方を示した上で,「(存続について)私が先走った判断はできない。被害を受けた個所を調べて被害額を確定し,今月中にも取締役会と検討委員会を開きたい」と話した。
同社によると,二つの鉄橋は,五ケ瀬川のはんらんで,いずれも橋脚部分だけを残して,橋りょう部分が流された。線路の一部も流失するなど寸断されている。

高千穂鉄道
高千穂鉄道は1988年12月,旧JR高千穂線を受け継ぐ形で,高千穂,日之影町など沿線の4市町などが出資して設立。JR延岡駅に乗り入れ,1日当たり29本を運行,営業距離は50キロ。乗客の減少などで2004年度の赤字は約6800万円に上った。

先般の台風14号では幸い,自分の生活圏ではさほどの被害は出ませんでした。ところが台風の発達した雲がかかった宮崎・大分ではかなりの豪雨で,川の氾濫が相次ぎました。上記の西日本新聞の昨日の記事によると,高千穂鉄道でも大きな被害を出したようです。
九州には第三セクターの鉄道がいくつかあります*1。残念ながら実はどれにも乗ったことはありませんが,車などで路線付近を見る機会はあります。実はこの高千穂鉄道の付近も一度だけ通ったことがあります。大分県と宮崎県の県境「杉が越」を車で越えたのですが,それはもうものすごいところでした。自然があふれているのはよいのですが,どこまで走っても山また山,人家は数えるほどでした。そうした山を下っていくと高千穂鉄道が通っているあたりに出てきます。そのルート沿いはある程度開けており,おそらく鉄道を走らせてもなんとか採算が取れる人口規模はあるのだと思います。しかし,上記記事によると,おそらくは本数の少なさ,あるいは公共交通ネットワークの欠如などの理由で,あまりお客さんが乗っていないようです。
莫大な設備投資をして修復しても,お客さんが戻ってこなければ採算は合いそうにありません。国鉄の民営化→ローカル線廃止の荒波をなんとか乗り越えた高千穂鉄道が,今度は自然災害による危機に直面しています。

*1:福岡県内には平成筑豊鉄道甘木鉄道長崎県には松浦鉄道熊本県には南阿蘇鉄道...といったあたりが思い浮かびます。