- 作者: 川嶋あい
- 出版社/メーカー: ゴマブックス
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 単行本
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2003年の春にラジオから流れてきた「明日への扉」(I WiSH)にものすごく鮮烈な印象を受けたことを覚えています。懐かしい雰囲気を漂わせたメロディーに青春時代まっただ中っぽい直球の歌詞,なんとなくほんわかしたヴォーカルの三者が解け合い,冬から春へと移る季節にぴったりあっていました*1。その後,川嶋あいさんとI WiSHのaiさんが同一人物であると知り,川嶋あいさんの曲も聴くようになりました。
歌手になるまでのストーリーは,そのホームページのほか,『16歳の白い地図』でも詳しく紹介されており,いろいろと苦労して夢を実現したんだなあということは分かっていました*2。しかし今回の『最後の言葉』ではさらに衝撃的な二つの告白─児童養護施設で育ったこと,育ての親を16歳までに亡くしてしまったこと,が書かれています。本当に涙なしでは読めません。この事実を知ってから最新リリースの「…ありがとう」を聴くと一段と胸に迫るものがあります。
川嶋あいさんは福岡出身で,少し前まではFM福岡で番組をやっていました。ラジオのしゃべりも面白く,そのためいろいろな曲を聴く機会ができたのですが,当初は癒し系だとだけ思っていました。しかし,彼女の醸し出す雰囲気は独特のものがあり,その理由は,現代社会が忘れかけた大切なもの(親子関係を結ぶ愛情,努力することの大切さなど)が彼女の世界には詰まっているからなのだろうと思います。同書70頁が「最高傑作」だという「天使たちのメロディー」の歌詞
人は夢をもつからね 諦めたりするのですか?
そこはホントはガラスの世界 壊せるのはこの手かも
はいつも胸にしみいります。