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Konstanz als Heimatstadt

エバーハルト シュミット−アスマン・行政法理論の基礎と課題

行政法理論の基礎と課題―秩序づけ理念としての行政法総論

行政法理論の基礎と課題―秩序づけ理念としての行政法総論

ドイツ行政法の本格的研究書の邦訳です。


すでに随分前から某生協にだけならんでいたようですが(ここを参照)ようやく手にすることができました。本書は,ハイデルベルク大学にながくおられたドイツ行政法学の泰斗,シュミット・アスマン先生の主著ともいえる作品で,大学院におけるドイツ語外書講読の定番とも目されていた作品です(翻訳が出た以上,このような使い方はなかなかされにくくなるでしょう)。
本書はもともと7章から構成されていますが,第7章のヨーロッパ行政法については翻訳されておらず,6章までを訳者が2章ずつ担当されています(1・4章→山本隆司先生,2・3章→太田匡彦先生,5・6章→大橋洋一先生)。原著自体なかなか意味をとりにくい文章・表現が少なからずあるため,正確な翻訳とわかりやすい翻訳とのバランスをとるのに苦労されている様子がうかがえます。いくつかのドイツ行政法特有の用語などについては括弧書きで簡潔な説明が加えられており,ドイツ行政法についてあまり馴染みがない読者にも親切な翻訳となっています。
本書の最後には約20頁にわたる訳者あとがき(山本隆司先生)がついており,本書全体のモチーフや特色について,比較的詳細に説明がなされています。この本を初めて手にする場合は,おそらく先にこちらを読んでから本文を読んだ方が,理解しやすいのではないかと思われました。