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Konstanz als Heimatstadt

リピーターの確保

太宰府市九州国立博物館が,10月15日で開館2周年を迎える。25日現在,同館の通算入館者数は約368万人。開館景気に沸いた1年目の約220万人を下回ったものの,2年目も約150万人が訪れ,開館時の目標だった年間30万人の入館者数を大幅に上回った。同館関係者も予想以上の「高止まり」と驚く好調の原因を探った。
「いかにリピーターを確保するか」。2年目を迎える際,三輪嘉六館長らスタッフはこの点を重視していた。協議の結果,たどり着いたキーワードは「鮮度」だった。
同館4階にある「文化交流展示室」。アジア各国と日本との文化交流の歴史を様々な切り口で紹介している常設展で,石器や土器,陶器など約800点を展示。しかし,そのうち200点は少しずつ入れ替えられ,年間で計1000点を紹介し,足を運ぶ度に,新たな発見ができる工夫が凝らされている。
また,貴重な展示品については,斬新な見せ方にもこだわった。「九州だけでなく,全国の人に『来たい』と思わせる展示を」と,東京などほかの都市を巡回してきた企画展を開く際も,同館ならではのアレンジを加えている。
今年1月〜3月に行われた「若冲(じゃくちゅう)と江戸絵画」。屏風(びょうぶ)絵をガラスケースに入れずに展示し,約40秒ごとに照明を変化させ,光の具合によって画面の印象が変わることを紹介。江戸の人々が自然光で鑑賞したのに近い感覚を味わわせた。
また,浄土教美術などを集めた「未来への贈りもの」展では,13世紀に作られた重要文化財空也上人像」をケースに入れずに展示。後ろ姿までつぶさに眺め,間近で空也上人の表情に接して感動した観覧者の姿が見られた。これらは,最新の館内空調や照明の設備があってこそ実現可能だったといい,同館スタッフも「九州国立博物館の持ち味を存分に発揮した」と胸を張る。
来館者の受け止め方もおおむね好評のようだ。28日に訪れた那珂川町の松藤信弘さん(55)は3度目の来館で,「企画展を見に来たが,いつもテーマが面白そうで,つい足を運んでしまう。これからも,どんな展覧会を開いてくれるのか楽しみ」と話した。
ただ,まだ対策が不十分な点も。車いすの人でも見やすいよう展示ケースの高さを低くしているが,視覚障害者にどう楽しんでもらうか,などは今後の課題という。三輪館長は「そんな課題を一つずつ乗り越えて多くの人に愛される施設に育てていきたい」と話す。

読売新聞の昨日付記事からです。美術館や博物館がうまく運営できるためのポイントはリピーターの確保であるとはよく言われます。しかし実際には,一度見たらもう来ない人が多く,入場者数を維持するのは難しいです。
この点,九州国立博物館は,魅力的な企画展を次々と開催したり,常設展でも飽きが来ない工夫をしたことにより,2年目もかなりの入場者数の確保に成功しています。常設展の展示物の質・量ともに一線級の博物館よりは劣るなかでの健闘だと思います。またこの記事にはありませんが,太宰府市のもう一つの観光スポットである太宰府天満宮からのアクセスのよさもまた,この数字に貢献しているのではないかと思います。