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Konstanz als Heimatstadt

伊勢丹→井筒屋

大手百貨店の伊勢丹(東京)が,JR小倉駅前にある子会社の小倉伊勢丹北九州市)の経営から撤退することが25日,分かった。地場百貨店の井筒屋(同)が来年3月末,伊勢丹保有するすべての小倉伊勢丹株を買い取る。店舗名は変更して,4月から井筒屋本店と一体運営しながら営業を継続する方針だ。
小倉伊勢丹は2004年2月,経営破たんした旧小倉そごう(北九州市,一部14階建て)跡に出店した。地下1階,地上6階に入っており,売り場面積は約3万平方メートル。小倉伊勢丹の資本金は現在10億円で,伊勢丹が70%,井筒屋が30%を出資している。
小倉伊勢丹の業績は初年度から伸び悩み,07年3月期は,税引き後利益が12億3100万円の赤字で,3期連続の赤字。債務超過額は約29億円に拡大している。伊勢丹は今後の業績回復が難しいと判断した。株式の譲渡価格は1円。
伊勢丹は来年4月に大手百貨店の三越経営統合する。これに伴い,全国の店舗網の見直しを進めていた。
井筒屋は伊勢丹グループが主導する共同仕入れ組織に属している。井筒屋は自社のカード子会社を伊勢丹側に売却して運営を委託するなど,両社は友好関係にある。
JR小倉駅の正面に立つ旧小倉そごうの店舗跡を巡っては,地元経済界が早期再開に向け,中央大手百貨店の誘致に熱心に取り組んだ経緯がある。井筒屋も地場企業の一員として,小倉伊勢丹に資本と人員を投下し,経営に参画していた。

読売新聞の昨日夕刊に出ていました。驚くとともに,やはりそうかと思いました。
小倉伊勢丹には開業以来何度かしか行っていませんが,開業当初のバーゲンを除くとほとんど人が入っていないような気がしていました。それにはおそらくいくつか理由があります。
1つは北九州地域の百貨店が以前から行っていた「友の会」のしくみを開業当初取り入れなかったことです。これは一定額を積み立てることでその1割程度をボーナスして買い物ができるというものですが,伊勢丹は開業当初,クレジットカード会員への還元だけにこだわっていたため,友の会によって顧客を安定的に取り込むことに失敗しました。現在ではこの方式を採用しているようです。
もう1つは,品揃えの問題です。伊勢丹には井筒屋にはない系統の商品が並んでいますが,それらは若年層向きでかつある程度値段が高いものが目立ちます。こうした商品を買う層は福岡にはある程度いても,北九州にはそれで黒字が出るほどはいないということが考えられます。
今回の撤退によって北九州全体でも「百貨店=井筒屋」の等式が成り立ってしまうのはあまり好ましいことではない気もしますが,上記の状況からするとやむを得ないことなのかもしれません。