小西砂千夫・地方財政改革の政治経済学

地方財政改革の政治経済学―相互扶助の精神を生かした制度設計

小泉改革以降の地方財政改革を包括的に論じています。

著者は地方財政の専門家として知られ，この間の制度改革でも審議会等で活躍しています。本書はその知見・経験をも踏まえ，小泉政権以降の地方財政改革を包括的に論じています。
本書の前半部分では，編年的に地方財政改革の経過をたどりながら，著者の改革構想を説明しています。そして後半部分では，地方交付税・市町村合併と道州制・地方債改革と破綻法制問題の3つの論点についてより深い議論を展開しています。地方財政の問題は地方分権に関する論議とも密接に関わっており，法律学との接点も多い部分です。その意味で逆に，地方債改革の部分について，マーケットによる規律・マーケットに対する規律という観点を，対応する法律学の議論がまだ十分に受け切れていないのではないかという印象を強く持ちました。