- 作者: 細谷雄一
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/12/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
法律学系以外の大学テキストシリーズとして有斐閣が新たに刊行を始めた「Insight」シリーズの第1冊目として刊行されました。頁数は200頁ほど,価格は1500円+税なのでかなり手軽に読める作品だと思います。
とはいえ,本書に含まれている内容はかなり広範です。本書が基軸にしているのは第一次大戦前までの外交スタイルである「旧外交」とその後の「新外交」,そして第二次大戦後の「現代外交」という3つの分類です。この中に貫かれている問題意識は外交と民主主義との関係です。19世紀にヨーロッパで確立した「旧外交」を打破すべく提唱された「新外交」は民主主義の影響を強く受けるものであるが故に,外交固有の価値の実現と衝突関係に立ってしまいます。それをどう考えればよいのか,その後に展開されるさまざまな具体的事件を説明する中で読者にさまざまなことを考えさせる構成になっています。
また本書は,外交学を語る上で何人かのキーパーソンに注目するスタイルもとっています。例えばリシュリューやアーネスト・サトウが代表であり,その考え方を詳しく紹介する中で,当時の外交に対する見方と現在の見方を比較する書き方になっています。