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Konstanz als Heimatstadt

冷たい黄砂雨

春が来るたびにおなじみの風景だが,西日本の広い範囲が3日覆われた黄砂は,各地の暮らしに影響を及ぼし始めた。砂混じりの雨にドライバーは顔をしかめ,晴れた地域では多くの人が屋外に洗濯物を干すのを控えた。花粉症に苦しむ人の症状を悪化させる恐れがあり,健康被害への懸念も強まっている。
朝から雨の福岡市では車や建物が汚れた。タクシー運転手の男性(56)は午前7時に出勤したら,2日夜に洗ったばかりの白い車体に黄色い砂の筋がついていた。「ワイパーを動かすとフロントガラスに跡がくっきり。まるで泥の雨ですよ」。北九州市でも細かな砂混じりの雨が降り,関門海峡は煙った。下関地方気象台によると,3日朝から視界が10キロ程度に落ちている。
鹿児島市のタクシー会社の洗車機の前には長い車列ができた。担当者は「朝からフル稼働。近年は桜島の火山灰もほとんど降らず,ふだんはこんなに長く待たせないのに……」。2日に観測された長崎県対馬市も3日朝から,霧に覆われたようにかすんだ。マスク姿の人が目立ち,買い物中の女性は「今日が一番ひどい。洗濯物は外に干せません」と話した。
中国や韓国では,黄砂で心臓病などが悪化し,お年寄りの死亡率が高くなるという調査結果もある。九州大は中国の研究機関と連携し,研究を進めることにしている。
大分県立看護科学大の市瀬孝道教授(環境毒性学)は「黄砂に含まれる石英や水晶といった二酸化ケイ素のほか,カビの死骸(しがい)や細菌が人体に入り,アレルギーを引き起こす」と言う。
花粉症の人にとってはダブルパンチだ。黄砂が花粉症を新たに発症させる可能性もある。市瀬教授は「花粉症やインフルエンザ用のマスクも効果がある」と助言する。
福岡・天神の大賀薬局では数日前から,「黄砂が気になる」と花粉症用のゴーグルやマスクを買う客が目立ち始めたという。店員は「体内に入れないのが一番なので,花粉症ではない人にもお勧めしています」。

朝日新聞の昨日付記事からです。確かに黄砂は春が来るたびにやってきますが,昨日はこれまでにない黄砂だったような気がします。黄砂被害が出る典型的な気象条件は,春の暖かい晴れた日であるのに対し,昨日はひどく雨が降り,また寒気も流れ込みました。にもかかわらず雨に混じって黄砂が降り注ぎ,町中の交通機関は軒並みものすごい汚れでした。数分傘をさして歩いたら,笠に白い汚れがついて,水拭きしてもなかなかとれませんでした。
1990年前後,ドイツの黒い森を中心とする酸性雨被害がドイツ・西ヨーロッパの環境保護運動に大きな契機を与えたことは記憶に新しいですが,今回の黄砂雨もまた環境保護の動きの契機となるのかもしれません。