永田和宏・タンパク質の一生

タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

タンパク質に注目して生物のメカニズムを説明しています。

私たちの体を構成する最も重要な物質の一つがタンパク質です。本書はこのタンパク質に焦点を当てて，タンパク質の生成・働き・消滅や，タンパク質と遺伝の関係，タンパク質と病気の関係などを取り扱っています。
本書を読んで最も興味を惹いたのは，タンパク質の熱に対する対応です。タンパク質は熱に弱く，一定の温度を超えると固まってしまいます。しかし生物の細胞の中にはこうした熱ストレスに対処するためのメカニズムが組み込まれており，タンパク質を固めてしまわないシステムがあるのだそうです。このしくみは生命の誕生からあまり時間が経たない時期に獲得したものだということです。自然が造り出したものであるが故に精巧なしくみができあがっているということなのでしょう。