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Konstanz als Heimatstadt

新大統領にGauck氏

【ベルリン=宮下日出男】ドイツのウルフ前大統領辞任に伴う大統領選挙が18日行われ,旧東ドイツ出身の牧師,ヨアヒム・ガウク氏(72)が選出された。任期は5年。旧東独育ちのメルケル首相と並び,東西ドイツ統一後初めて旧東独出身者が首相と大統領を占める。
大統領選は連邦議会(下院)議員と特別市を含む州代表で構成される連邦大会議で行われた。連立与党や最大野党など主要政党のほとんどがガウク氏を支持した。
ガウク氏は北部ロストク出身。旧東独時代は人権や環境問題に取り組み,統一後は旧東独の秘密警察(シュタージ)の機密文書を管理・分析する機関を率いた。独公共放送の世論調査では8割がガウク氏を「信頼する」と答えている。
ドイツの大統領に政治的権限はほとんどないが,国民の精神的な支柱となっている。

IZAの今日付記事からです。前評判通りの圧倒的支持を受けてGauck氏が大統領に選出されました(→ARD)。
ドイツの大統領を選出する連邦集会(連邦大会議)(Bundesversammlung)の1228票のうち,Gauck氏を支持したのは991票でした。前回の選挙ではSPD緑の党の候補者でしたが,今回はさらにCDU/CSUとFDPも支持したため,圧倒的な多数を獲得することになりました。他方で,これらの政党の本来の票数から比べると少なくとも103票がGauck氏に投票していないという結果になっています。第2位になったのは,左翼党(Linke)の候補者であったKlarsfeld氏で,126票でした。Klarsfeld氏は現在はパリに住んでいますが,旧ナチスの犯罪を暴く活動家として有名で,今回の大統領選挙で初めて候補者となりました。Gauck氏は72歳であり,過去の連邦大統領で就任時の最高齢者となりました。
ケーラー大統領の2期目の選出から,ドイツでは毎年連邦大統領選挙が行われていることになります。特に汚職での辞職になった前大統領に対してドイツ国民からの風当たりは強く,国民の幅広い信頼を集めうる大統領が求められていました。その意味で国民の8割が支持する大統領は政局の安定という点からも現在のドイツには最も好ましいということだろうと思います。