ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州議会選が13日始まった。同州は最大の人口を抱え,来年秋に予定される国政の連邦議会(下院)選挙の行方を占うともいわれる重要な選挙。即日開票され,事前の世論調査によると,国政野党の社会民主党(SPD)が,これまで拮抗(きっこう)していたメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)を上回り第1党の座を固める勢いだ。
同州はSPDと90年連合・緑の党が連立政権を組んでいる。州政権奪還を目指すCDUは,州首相候補に連邦政府のレトゲン環境相を擁立。メルケル首相も応援のため頻繁に同州入りした。CDUは州政府の債務圧縮を主張。SPDは教育や子育て支援策の充実を掲げた。欧州債務危機対策としてメルケル首相が進める緊縮策の是非も問われた。(共同)
IZAの昨日付記事からです。ARDの現在の速報値によると,以下のような結果になっています。
- CDU(キリスト教民主同盟) 26.3%(前回比-8.3%)
- SPD(社会民主党) 39.1%(+4.6%)
- 緑の党 11.4%(-0.7%)
- FDP(自由民主党) 8.5%(+1.8%)
- Linke(左翼党)2.5%(-9.1%)
- 海賊党 7.8%(+6.2%)
- その他 4.4%
この結果,第一党のSPDの議席は97,これに緑の党の28を足すと過半数となり,現在の州政府与党の構成は変わらないこととなりました。それでも2010年からするとSPDの議席数が伸びた分,安定した勢力となりました。
今回の選挙結果の評価はかなり難しいです。一方ではSPDが大勝して州政府与党の構成を盤石なものとしています。CDUはこれまでで同州最悪の大敗です。Frankfurter Allgemeineのこの記事では,盛り上がるSPDと冴えないCDUが対照的に描かれています。他方で,今回の選挙は少なくともメルケル政権にはたいした影響を与えないという見方もあります。Die Zeitのこの記事はそのようなトーンで書かれています。確かに連邦政界への直接の影響は,センセーショナルな選挙結果と比較すればそれほど大きくないと言えるのかも知れません。
今回の選挙ではFDPが議席を失うのではないかといわれていましたが,結局は5%を上回ったため議席を獲得しています(21議席)。最近の選挙で強さを見せている海賊党も議席を獲得するに至っています(19議席)。逆に左翼党は5%に届かず,議席を失っています。