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Konstanz als Heimatstadt

オープンキャンパス

今月の5〜7日にかけて,コンスタンツ大学ではオープンキャンパス(Studientag)が開かれています。


オープンキャンパス
毎年,冬学期の試験期間が終わった次の週に開催されており,春休みで通常なら人が少ない大学が非常に混み合います。日本のオープンキャンパスのように進学校がバスを連ねてやってくるようなことはなく,ギムナジウムの生徒が個別に(あるいは友人と一緒に)大学を訪問する方式がとられています。
大講義室では一般的な説明がなされるほか,いくつかの学部では研究室の開放なども行われているようです。ただ,授業期間ではないため講義の様子を見ることはできず,模擬講義なども(少なくとも法学部に関しては)行われていないようです。
日本と異なり,ドイツのギムナジウムには制服がありません。そのため誰が学生で誰が生徒かの区別は服装からはつきませんが,明らかに顔立ちや仕草が若いのでだいたい見当が付きます。コンスタンツ大学ではこの学期からギムナジウムの年数が1年短くなった学生(8年間の在学期間なのでG8と呼ばれます)が入ってきており,オープンキャンパスに来る中心の生徒の年齢も以前よりも1歳若くなっています。それ以前の9年制(G9)と異なり,同じ教育内容を1年短く教えるため,午後に授業が入ったり,進度が速くなったりしているそうです。ヨーロッパの他国との整合性をとるための改革ですが,国内での評判はあまりよくないようで,もう一度9年制に戻そうという議論もあるようです。
8年制になったことの問題は,午後のサークル活動ができなくなることにもあるそうです。ドイツにはスポーツなど無数のサークル・クラブ活動・同好会(Verein)が存在しており,Vereinstaatという別称もあるほどですが,これまではギムナジウムの授業を午前中で終えた生徒が午後にサークル活動を始め,夕方以降は同じサークル活動を仕事帰りの大人がやるという光景が一般的でした。しかしG8になることで生徒と大人のサークルの時間が競合するようになり,また生徒も宿題などにおわれてサークルどころではなくなっているとのことで,G8によってVereinstaatの伝統が消滅するのではないかといわれています。
一方,G8を受け入れる大学側は,今年度に関しては通常の倍の人数の学生が新入生として入っています。このためバスも学食もひどい混み具合だそうです。法学部は2人の正教授を6年任期で採用したそうですが,これにともなって研究室不足も更に深刻化しているそうです。
オープンキャンパスに来ている生徒は皆,将来のある輝いた顔をしていますが,輝いた将来を大学の制度としてどう実現するかは,国を問わず大学人に問われている大きな課題のように思われます。