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Konstanz als Heimatstadt

夏時間廃止?

ブリュッセル時事】欧州連合EU欧州委員会が現行の夏時間制度の廃止を加盟各国に提案する。
欧州委は当初,制度変更に慎重だったが,意見公募で8割超の圧倒的多数の市民が健康への悪影響や交通事故増加などを理由に「ノー」を突き付けたことで流れが決まった。
数十年にわたり夏時間を実施してきた欧州の方向転換は,2020年の東京五輪パラリンピックでの暑さ対策として導入を検討している日本の議論には逆風となりそうだ。
欧州委が夏時間の存廃に関し7〜8月に実施した調査で集まった市民の意見は約460万件。意見公募では過去最大数だった。うち84%が,3月に時計を1時間進めて夏時間とし,10月に元に戻して冬時間とする現行制度の廃止を求めた。
AFP通信によると,ドイツのメルケル首相は結果を受け,「優先度はとても高い」と廃止に前向きな姿勢を表明。ブルツ欧州委員は現時点で加盟28カ国中,7カ国の政府が廃止を支持していると明らかにした。
欧州各国で夏時間が導入され始めたのは第1次世界大戦当時で,その後の中断などを経て1970〜80年代に省エネや余暇時間拡大を目的に定着。EUでの制度統一が図られたが,今回は市民が省エネ効果を感じていないことも示された。
欧州委による提案の詳細は明らかではないが,加盟各国は通年で夏時間か冬時間のどちらかを選ぶことになる見通しだ。
市民の意見を詳細に見ると,北欧のフィンランドや東欧のポーランドで廃止支持が95%に上った一方,南欧ギリシャやイタリアは4〜6割台にとどまるなど地域差もある。また回答数の3分の2をドイツが占めるなど調査の偏りを指摘する声もあり,EU全加盟国がスムーズに新制度に移行できるかには不透明さも残る。

時事通信の1日付記事からです。ドイツでは数日前に同じ内容がすでに報道されていました。西ヨーロッパではおおむね毎年3月の最終日曜日に冬時間から夏時間へ,10月最終日曜日に夏時間から冬時間へ変わることが多く,日本との時差も夏時間であれば7時間,冬時間であれば8時間となります。最近でこそ電波時計が増えて,あまり調整が面倒ではなくなりましたが,調整機能が付いていない家電製品等の時計は,年に2回は大きく動かす必要があります。時間が切り替わる前後では,待ち合わせの時間や交通機関の時間で間違いが生じることもあります。
西ヨーロッパの夏時間は,省エネルギーという目的だけでなく,明るい夜の時間を長くとって夏らしいレジャーを楽しむという意味もあるように思われます。とはいえ,切り替えの前後は非常に面倒ですし,切り替えの日は睡眠時間も狂うことになって,それなりにデメリットもある制度だと感じています。ドイツは西ヨーロッパの標準時の線に比較的近い場所に位置しているため,夏と冬の切り替えだけが問題と感じやすいところですが,旧東欧圏では生活リズムと時間の表示がそもそも齟齬を来していると言われています。仮に各国で自由に夏・冬時間のどちらかを選択させるとすれば,現在のような幅広い範囲を持つ3つの標準時という形態は消滅するかもしれません。ドイツでは以前から,夏時間を年間通じて採用すべきとする見解が強く,もしこれが実現すれば,日本とドイツの時差は常に7時間ということになります*1

*1:Süddeutsche Zeitungの1日付記事によると,EUが指示しようとしているのは各国が選んだ時間帯のなかで夏時間を実施するようにという点だけで,これを廃止したとしても,各国が時間帯選択できるという枠組は今のところ変わらない見通しのようです。