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Konstanz als Heimatstadt

観光目的鉄道

国土交通省九州運輸局は,北九州市第三セクター平成筑豊鉄道」(本社・福岡県福智町)が共同で申請していた同市門司区の鉄道事業「門司港レトロ観光列車」を許可した。目的を観光に特化した「特定目的鉄道」としての許可は全国で初めて。
運行区間門司港―和布刈(めかり)公園(ともに仮称)の約2キロ(4駅)。南阿蘇鉄道熊本県高森町)を走っていたディーゼル機関車2両と,島原鉄道長崎県島原市)から買い受けるトロッコ列車2両をつなぐ編成で計80座席。来年度開業で,週末や夏休みなど年間130日,1日14往復の運行で利用客10万人をめざす。
鉄道施設は市の所有,運行は平成筑豊鉄道という上下分離方式。市にとっては門司港レトロ地区の観光振興に,同鉄道には経営安定や既存路線が走る筑豊地方の観光戦略の強化にそれぞれ利点があるという。許可証の交付を受けた北橋健治市長は「関門地区全体の観光振興の起爆剤になる。国内だけでなく,韓国や世界中からの観光客に魅力的な景観を楽しんでほしい」と話した。

朝日新聞の昨日付記事からです。以前も取り上げたことがありましたが,正式に認められたようです。
門司港レトロ地区はJR門司港駅から徒歩で行けるところに中心部がありますが,その先の関門橋の橋脚がある和布刈神社まではそれなりに距離があり,従来はこの2つの観光地を結ぶ交通機関がバスだけでした。現在休止されている貨物線はこの両地区を結び,また海岸部のすぐ近くを通るので,観光面では非常によい資源だろうと思います。


ところで鉄道事業法では

第五条  国土交通大臣は,鉄道事業の許可をしようとするときは,次の基準に適合するかどうかを審査して,これをしなければならない。
一  その事業の計画が経営上適切なものであること。
二  その事業の計画が輸送の安全上適切なものであること。
三  前二号に掲げるもののほか,その事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
四  その事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
2  国土交通大臣は,鉄道事業の許可を受けようとする者の申請により,特定の目的を有する旅客の運送を行うものとして国土交通省令で定める要件に該当すると認める鉄道事業について,その許可をしようとするときは,前項の規定にかかわらず,同項第二号及び第四号の基準に適合するかどうかを審査して,これをすることができる。

という規定でこの5条2項が特定目的鉄道を定めているようです。通常の鉄道よりも許可の要件を限定している特色があります。上記の「国土交通省例で定める要件」とは,鉄道事業法施行規則の次の規定

第六条の二 法第五条第二項の国土交通省令で定める要件は,景観の鑑賞,遊戯施設への移動その他の観光の目的を有する旅客の運送を専ら行うものであることとする。

により,観光目的に限定されています。法律の委任規定の書き方からすると必ずしも観光目的だけに限定しなければならない必然性はないようにも見えますが...。