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Konstanz als Heimatstadt

社会実験

環境に優しく渋滞も引き起こさない自転車を低料金で貸し出して街の活性化を図る社会実験が13日,八幡西区黒崎地区で始まった。
国が全国7市・区で行っているコミュニティサイクル社会実験の一環。自転車の普及を図る小倉北区NPO法人「タウンモービルネットワーク北九州」(植木和宏理事長)が来年1月17日まで実施し,国が事業費約500万円を負担する。
社会実験では,JR黒崎駅前,八幡西区役所,黒崎市民センター,九州国際大学にそれぞれ自転車を貸し出すサイクルポートを設け,駅前に20台,ほかは8台ずつ配置。駅前のポートで登録すれば1時間105円,1日最大525円で利用できるうえ,自転車はどのポートでも返却できる。北九州市は社会実験の結果を検証し,本格的に導入するかどうかを検討する。
植木理事長は「自転車の利用で,環境にやさしいまちづくりや駅前商店街の活性化につなげたい」と話している。問い合わせはタウンモービルネットワーク北九州(093・531・2200)へ。

読売新聞の14日付記事(地域面)からです。社会実験は国土交通省の関係でさまざまな具体例があり,市民参加手法あるいは政策選択の実証実験の事例としても知られるようになりました*1
ただ,利用者としてどのような層を想定しているのかがやや気になりました。もしポート間移動を考えるなら,現在の設置箇所ではあまり意味がなさそうです(駅から区役所までなら100円バスに乗った方が安いですし,九州国際大学まではおそらくJRで1駅移動するほうが現実的でしょう)。あるいは訪問客がターゲットなら,登録のしくみをどうしているのかによって利用のしやすさ(あるいは自転車がきちんと戻ってくるかどうか)が変わってくるでしょう。
放置自転車対策としてこのしくみを考えるなら,たとえば世田谷区がやっている事例が参考になるかも知れません。最終的に導入するなら,政策のターゲットをある程度絞って,ポートの設置や値段設定を考えた方がよいように思いました。

*1:大橋洋一「社会実験と法制度の設計」法学研究(慶應義塾大学)81巻12号(2008年)29-54頁。