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Konstanz als Heimatstadt

西鉄バスのリストラ

国内最大のバス会社,西日本鉄道(福岡市)が,2010年度に過去最大のバス事業のリストラに踏み切る方針を固めたことが17日,明らかになった。
福岡都市圏で運行する約100路線のうち,20〜40路線を減便するとともに,5〜10路線の一部区間を廃止し,輸送力を約10%減らす。運転手の採用も近く停止し,10年度も見送る。
西鉄のバス事業は,高速バスで収益を上げ,路線バスの赤字を穴埋めする構造。大規模な合理化に踏み切るのは,高速道路の自動料金収受システム(ETC)割引で高速バスの収支が急速に悪化し,路線バスの赤字を補えなくなったためだ。
計画によると,運行を維持できないほどの赤字が出ている40〜50路線が中心となる。高速バスについても全33路線を30程度に減らす。対象路線は年末までに確定し,10年の春から冬にかけて実施する。
これに伴い,毎年延べ約300人採用していた運転手の募集を近く停止する。09年度の採用人数は150人程度に半減し,10年度は募集しない方向だ。さらにグループで保有するバス約2500台のうち,余剰となる100台強を譲渡または廃棄する見通し。18ある営業所も16程度に減らし,跡地は売却を検討する。
こうした措置で人件費や燃料費などを減らし,約20億円の収益改善を見込んでいる。
西鉄のバス事業は,利用者数の低迷で02年度以降,営業赤字が続き,09年度は景気低迷とETC割引の影響で30億円以上に膨らむ見通し。

読売新聞の昨日付記事からです。西鉄バスは既に今年の9月の段階で一部の不採算路線の廃止や減便を実施していましたが,さらに来年度にかけてもう一段のリストラを行うようです。
上記記事では西鉄が直接経営している福岡都市圏の計画だけが詳しく出ていますが,グループ会社が運営する他の地域についても同様またはそれ以上のリストラが行われると予想されます。これまでの赤字対策は値上げでしたが,ここのところ西鉄バスの運賃は初乗りがしばらく変更されず,逆に100円バスや乗り継ぎ割引,経済的に得なパスの発売などで運賃を下げて利用者を増やす傾向が続いていました。本数そのものを減らすと利便性が落ちるので,特にパス利用者からは強い不満が出ることが予想されます。またこの動きは,高速無料化をマニフェストに掲げる現政権に対する牽制という政治的な意味もあるのかもしれません。
ドイツではほとんどの高速道路(Autobahn)は無料ですが(有料化しようという議論もあるようです),日本のような高速バスはそれほど一般的ではないようです。地域のバスの大半は自治体が経営に関与しており,高速バスの収益を一般バスの赤字に充当するような構造は見られません。