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Konstanz als Heimatstadt

ギリシャ危機と好景気

財政難に陥ったユーロ参加国を救う仕組みである欧州金融安定基金(EFSF)の拡充案を,ドイツ議会(下院)が承認した。危機対応はなお十分ではない。今週も綱渡りが続く。
問題を整理するため,表1で現時点のユーロ危機対応策の全体像を示そう。第1次ギリシャ支援として,欧州連合EU)と国際通貨基金IMF)は合わせて1100億ユーロを用意している。目下,その第6弾の80億ユーロの融資交渉が大詰めを迎えている。
ギリシャ以外の財政難に陥った国を支援する仕組みとしては,7500億ユーロの枠を用意している。(1)EUの財政資金を裏付けとする欧州金融安定メカニズム(EFSM)の600億ユーロ(2)ユーロ参加国政府の保証によるEFSFの4400億ユーロ(3)IMFの2500億ユーロ――が三本の矢である。アイルランドポルトガルには,このお金を使って金融支援(融資)を実施している。
それとは別に,欧州中央銀行(ECB)が金額無制限・固定金利で資金供給をし,イタリアやスペインの国債を買い入れている。これだけでも,EUIMF,ECB総掛かりという感じだが,ギリシャの政府債務危機は一向に収まらない。
そこで,今年7月までにユーロ圏諸国は第2次ギリシャ支援(1090億ユーロ)をまとめ,EFSFについても政府保証枠の拡大を打ち出した。
危機対応の柱となっているEFSFは,ユーロ参加国の政府保証付きで債券を発行し,調達した資金を問題国の支援に充てる仕組み。ユーロ圏諸国は,その政府保証枠を4400億ユーロから,7800億ユーロへと増強することで合意した。そのためにはユーロ参加国すべての議会の承認が必要。各国議会の動向に一喜一憂しているのが現状だ。

日本経済新聞の今日付記事からです。ギリシャ危機そのものは今に始まったことではありませんが,今年は年末にかけてこの問題の正念場を迎えると言われています。もしギリシャがデフォルトに陥った場合には,2008年に匹敵するかそれ以上の金融危機が来るかも知れないとも言われています。ユーロの対円の水準も100円程度まで下がっており,なにやら異様な感じです。
この問題に関するドイツ国内の意見はさまざまです。ギリシャの財政規律が甘いのになぜドイツ人がお金を出して救済しなければならないのかという意見も強いですが,他方でユーロという通貨同盟によって一番恩恵を受けているのは輸出立国ドイツであり,ユーロの枠組を守る方が国益に叶うという意見もあります。
経済危機は同時にドルの価値も下げているため,ユーロの対ドル水準はこの危機の最中にはあまり変わっていません。このことが今回の危機のドイツ国内での受け止め方をある程度緩いものにしている感じもします。他方でユーロの対スイスフランの価値はかなり下がっており,これがコンスタンツに空前の好景気をもたらしています。8月滞在中もかなりスイスの買い物客が目立ちましたが,現在では週末のみならず平日でもスイスからの買い物客が流れ込んでいるそうです。コンスタンツ市は小売店の売り上げに対する臨時の税金を課して景気の過熱を抑えているようですが...。