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Konstanz als Heimatstadt

インキューブvsロフト

ロフト今秋進出,商品管理力に自信
九州最大の商業地,福岡市天神の駅ビルに入る雑貨店「雑貨館インキューブ」が順調に業績を伸ばしている。だが,天神には今秋,生活雑貨大手のロフトが進出。両店の商品構成や顧客層は重なる部分が多く,競争は避けられない。全国ブランドのロフトに対し,インキューブは,駅ビルという地の利を前面に押し出し集客力を高める。
西日本鉄道グループのインキューブは1999年,西鉄福岡駅ビル「ソラリアステージ」に開業した。4300平方メートルの店舗に,文房具や家具など約20万点をそろえる。「雑貨好きの店員が,売りたいものを自分で選んで売る」(仲村十九正社長)仕入れ販売制度をとっているのが特徴だ。
「楽しくて鮮度の高い店」をうたい文句に,20-30代の女性をつかみ,2006年度は前の年度比3%増の約29億円を売り上げ,経常利益とともに過去最高となった。
元々西鉄が,天神になくて集客力のある業態を駅ビルに入れようと,市民を対象にしたアンケートから生まれた店。東急ハンズやロフトなど先行する店を見て回りながら店づくりを進めたという。

重なる顧客層
ただ,そのためか,「インキューブ? あのロフトみたいな店でしょ」(32歳の転勤族の男性)といった感想を持つ消費者も少なくない。
ロフトは,インキューブから約400メートル離れた商業ビル「ジークス天神」に出店する。全国の店舗の中でも5番目に広い5500平方メートル。九州の旗艦店と位置づけ,文具やインテリアなど得意とする5つの分野すべてで「フルラインの品ぞろえをする」(ロフト)方針だ。年商35億円を目指す。
ロフトが狙うのは「情報感度豊かな20-30代の独身女性」で,インキューブと顧客層はほぼ重なる。インキューブでよく買い物をする福岡県春日市の女性会社員(39)も,「ロフトは品ぞろえが良さそうで楽しみ。ぜひ買い物したい」と期待を寄せる。
全国ブランドの前ではインキューブの機動性のある仕入れ販売による商品群もかすんでしまう可能性もある。しかし,同店の仲村社長は「開店前から動くのは拙速。ロフト開店後に売り上げや来客が減ったら,何か手を打つ」と話す。

問われる真価
こうした余裕の背景にあるのは,駅に直結する立地の良さだ。時間つぶしがてら来店し,商品を購入する顧客は少なくない。天神に来るたびに訪れるという福岡県太宰府市の女性会社員(22)は「待ち合わせスポットとしても使えるので,ロフトが来てもここを離れることはない」ときっぱり言う。
天神では中心部から少し離れた商業ビルは苦戦しているのが実情。ロフトが進出する「ジークス天神」のほか,「BiVi福岡」や「ゲイツ」など商業施設は,中心地から少し離れているのが主因で集客に悩んできた。
それでもロフトが出店を決意したのは,売れ筋商品を詳細に把握し供給する商品管理力を背景に,現状では不利と見られる立地条件をカバーできるとみているからだ。大阪・梅田への出店では新たな商業集積を生んだ実績があり,九州でも「天神に新しい人の流れをつくる」という。
インキューブは,天神の雑貨市場を開拓するとともに需要を一手に取り込んで業績を拡大させてきた。地の利か,商品力か。同店の真価は,全国ブランドが参入する今秋に初めて問われることになりそうだ。

日本経済新聞の昨日朝刊(地域経済面)に出ていました。東急ハンズもロフトもない現在,天神地区で変わった文具を買うにはインキューブか丸善の文具売場といった,かなり限定的な場所に行かなければなりません。これに対して今後ロフトが天神南地区に,東急ハンズ博多駅地区に出店することで,一気に雑貨関連の店舗面積が拡大することになります。従来顕在化していなかったニーズを引き出すことになるのか,それとも限定されたパイの奪い合いに終始してしまうのか,ここ数年の展開が気になるところです。