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Konstanz als Heimatstadt

福岡空港の将来像

過密化が懸念されている福岡空港の対応策について,国と福岡県,福岡市による福岡空港調査連絡調整会議は,「新空港建設」と「現空港の滑走路増設」の2案に絞って検討を進める方針を固めた。新空港候補地を同市東区と同県新宮町の沖合2か所としたほか,2500メートルの滑走路を新設する具体的位置なども想定。同会議は2案の内容を9月上旬に公表し,市民から意見を募るなどして来年にも最終的な対応策を決める。
福岡空港については,国土交通相の諮問機関・交通政策審議会の航空分科会が2002年,「将来的に需給が逼迫(ひっぱく)する」と答申した。これを受け,同会議は03年度から,過密化対策を検討する総合調査(PI)を実施。▽新空港の建設▽現空港での滑走路増設▽北九州,佐賀など近隣空港と連携して利用者を分散▽現空港の有効活用―の4案を検討してきた。
このうち,近隣空港との連携については,福岡空港の離着陸回数がわずかしか減少しないと試算。現空港の誘導路を対面通行可能とするなどして有効活用する案についても,過密化改善につながりにくいと判断し,検討対象から外すことにした。
一方,新空港建設については,利便性などから,候補地をJR博多駅から半径30キロ以内の主に海域部分と設定。地理条件や用地確保の実現性,騒音の影響を考慮し,同市東区沖の「志賀島・奈多ゾーン」と,新宮町沖の「三苫・新宮ゾーン」の2か所を挙げた。
滑走路増設については,現滑走路(長さ2800メートル)と並行して長さ2500メートルの滑走路を東側,西側,北西側に新設する3パターンの設置案を想定した。

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福岡空港(福岡市)の過密化対策を巡る問題は,国などによる調査連絡調整会議が「新空港の建設」と「現空港での滑走路増設」の2案に絞り込んだことで,論議の山場を迎えた。だが,自然環境への影響や費用負担の課題を抱えており,最終決定までには曲折も予想される。
同会議はこれまで,▽新空港建設▽現空港での滑走路増設▽近隣空港との連携▽現空港の有効活用―の4案を検討してきた。
このうち,近隣空港との連携については,北九州空港佐賀空港までの交通の利便性を改善して利用者を分散させたとしても,福岡空港の離着陸回数の大幅減は見込めないと予測。また,誘導路拡張などによる現空港の有効活用策も検討したが,離着陸の処理容量が年間14・5万回から14・9万回に増える程度で,「効果は小さい」と判断した。
このため,大幅な利用増にも対応できる新空港建設と滑走路増設の2案が有力となった。
ただ,こちらも課題は少なくない。新空港の候補地は玄海国定公園から近く,環境への影響が懸念される。市の繁華街・天神から地下鉄で約10分で結ばれ,「日本一便利」ともいわれる現空港を移転することには市民の反発も予想される。
滑走路の増設も,設置場所によっては,国内線ターミナルの移設や滑走路の延長線上にある福岡都市高速道路の付け替えが必要となり,多額の費用負担は避けられない。
国などは過密化対策を決める総合調査に市民から意見を募る手法を取り入れている。地域の将来を左右する大型事業だけに,利用者や地元住民の視点を交えた慎重な議論が求められる。

読売新聞の昨日朝刊に出ていました。福岡空港の将来像を巡っては,新空港の建設か否かが争点の一つとなった前々回の県知事選挙の際に議論が盛り上がりましたが,その後沈静化していました。
今回の提案では,滑走路の増設か新空港建設かが選択肢として挙がっています。現空港の高い利便性を考えれば滑走路増設の方が適当なのかもしれませんが,すでにまわりは住宅密集地であり,事故のリスクがかなり大きいことも否定できません。他方,奈多や新宮となると鉄道アクセスでは西鉄貝塚線(旧宮地岳線)の活用が考えられるところですが,かなりの投資をしても,現空港に比べると都心部からの時間はかかることになるでしょう。また福岡市東部に移動することにより,北九州空港とのアクセス時間福岡空港が有利になる地域が北九州市の西部にとどまらなくなる可能性もあり,この場合には北九州空港の需要にも影響を与える可能性があります。