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Konstanz als Heimatstadt

節分と地域差

節分の夜,その年の縁起のいい方角を向きながらかぶりつく「恵方巻(えほうま)き」が定着してきた。関西発祥の太巻きだが,すし以外の変わり種が福岡でも続々とお目見えしている。サンドイッチのほか,ロールケーキや和菓子などの「スイーツ巻き」もあり,一部は予約で完売する人気だ。節分は3日,今年の恵方は南南東。
福岡・天神でデパ地下を歩いた。バレンタインのチョコレートに負けじと,あるわあるわ。パンや菓子の売り場に「恵方巻き」の文字が躍る。
全国展開のパン店「メゾンカイザー」(本店・東京)は各地の支店のうち天神の大丸店だけが今年,クレープ生地でサーモンやハムを包んだクレープサンドを売り出した。「福岡でも恵方巻きがブームになっているので参加してみた」と大里敬太マネジャー。
和菓子も負けていない。地元の「一(ひと)ひら」は昨年に続き,ようかんやこしあんなどを具に見立て,ノリで巻いた。思ったより,違和感のない味。宮部聖社長は「すし店に行列ができる人気を見てあやかった。お陰様で右肩上がり」という。
ケーキ売り場では,巻きずしと姿の似ているロールケーキが,イチゴやチェリーをくるんで「ロール恵方」と名乗る。西鉄グランドホテルが「ケーキファンも楽しんで」と始め,3年目になる。
ロールを買った福岡県古賀市の主婦扇春美さんは「ケーキなら子どもも食べやすくていい。関西に住んでいた7年前に初めて知ったけど,福岡でも定着したみたい」と話していた。
恵方巻きはコンビニの全国販売などで00年ごろから急速に広まった。ミツカン(愛知県半田市)の全国調査によると,恵方巻きの九州での認知度は04年の68%が05年に91%と急上昇。実際に食べるという人も5割を超えている。
「博多」などの著書がある武野要子・福岡大名誉教授(貿易史)は「博多は日本最古の国際貿易都市で,町人たちは外来文化を採り入れ,育ててきた。そうめんやまんじゅうも唐菓子を博多で変化させ,定着した。そんな伝統が今も生きているのでしょう」と話している。

◆豆まきは落花生で
「鬼は外,福は内」
九州,山口では,まかれる豆にも変化が起きている。
北九州市小倉北区のスーパー。節分のコーナーに,大豆と殻つき落花生,鬼の面が入った節分用のパックが並ぶ。「落花生なら部屋にまいても集めやすいうえ,食べられる」という声を受け,製豆業の松村山陽堂(山口県下関市)が節分用の商品の一部に落花生を加えて出荷している。
九州でスーパーを展開するイオン九州も「落花生に加え,三角形のパック入りのいり大豆の扱いが増えている」という。北九州市小倉北区の八坂神社では十数年前から,落花生と,小袋入りの大豆をまいている。
節分用で勢力拡大中の落花生。大産地で知られる千葉県の成田山新勝寺では,40年前の豆まきから登場した。源流の一部は鹿児島にもあるらしい。
鹿児島と宮崎で出店しているスーパーによると,節分用の落花生と大豆の売り上げは7対3と大差がついている。菓子部門担当者は「鹿児島県鹿屋市でかつて落花生栽培が盛んだったから広がったのでは」とみる。南九州で定着した習慣が今,扱いやすさが受けて北上しているようだ。

朝日新聞の2日付記事からです。10年以上前までは節分に巻き寿司を食べるという習慣は北部九州にはなかったような気がしますし,まく豆も大豆(炒り大豆)とたいてい決まっていたような気がします。最近ではたしかにこうした慣習が広がってきたと思いますが,落花生は南九州からの影響であったとは知りませんでした(恵方巻が関西発であることはよく知られています)。
個人的によく分からないのは「恵方巻」の習慣です。恵方は毎年変わる,とか,食べているときにしゃべってはいけない,とかさまざまなルールがあるようなのですが,これらは一体どのような背景でそう言われているのかがわかりません。物心つく前からそう言われているのであれば多少の信憑性を感じますが,なにせ北部九州ではここ数年で急に「伝統」になってきたように見えるので,何とも違和感を感じます。