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Konstanz als Heimatstadt

世界遺産取消

【ベルリン小谷守彦】スペインのセビリアからの報道によると,国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は25日,世界遺産文化遺産)とされていたドイツ東部「ドレスデンエルベ渓谷」を世界遺産リストから抹消した。世界遺産の抹消は,オマーンの動物保護区域(自然遺産)に次ぎ2件目で,文化遺産では初めて。
抹消理由は,ドレスデン市中心部から約4キロ離れたエルベ渓谷に建設中の橋が,文化的景観を損ねるとされたため。世界遺産委員会は,橋の代わりにトンネルを建設するよう勧めたが,市は費用がかさむことなどを理由に拒否していた。
市民に古都ドレスデン世界遺産抹消を惜しむ声は強く,橋建設を非難する文化関係者も多い。一方で,地元の世論調査では,橋は市民の利便性を高めるとする意見が過半数を占めていた。ドイツは文化財行政や世界遺産保全を州や市町村の権限としているため,連邦は橋建設に懸念を示しながらも市の決定を尊重していた。
ドレスデンのオロズ市長は「世界遺産委員会は,もう一度,登録申請する余地も認めている」としており,橋建設の正当性を今後も主張する構えでいる。
ドレスデンは,第二次世界大戦空爆被害から復興した旧市街がエルベ川に臨む美しい都市景観で知られ,日本の旅行者にも人気が高い。

ドレスデンの旧市街
毎日新聞の今日付記事からです。ドイツのテレビのニュースではこれがトップで扱われていました。
ドレスデンの架橋をめぐっては,国際機構と国家(連邦)さらには地方自治体との複雑な関係を示す一例としてこれまでも注目され,公法学の論文(国際法憲法行政法を問わず)でもしばしば取り上げられてきました*1。ドイツにおいては国際条約法よりも地方自治体の直接民主政を重視する考え方がおおむね支持を集めているようです。

*1:近時の論文として,Heike Krieger, Die Herrschaft der Fremden - Zur demokratietheoretischen Kritik des Völkerrechts, AöR 133 (2008), S. 315-345を挙げることができます。