ernst@hatenablog

Konstanz als Heimatstadt

東京大学教養学部英語部会編著・東大英単

東大英単

東大英単

単語の使い方に焦点を当てた単語集です。

東京大学教養学部英語部会編著『東大英単』(東京大学出版会)が売れている。ビジネス街の書店では一時期品切れになるほどで,すでに3刷2万8000部。出版社も驚くヒット作になっている。
「東大というタイトルに話題性があり,読者を刺激した」。編集に携わった能登路(のとじ)雅子教授(アメリカ文化史)は,売れている理由をそう分析する。「『英単』という言葉には昔のイメージもあり,それを越えたものというメッセージも込めました」
タイトルには,東大の内部でも驚いた人も多かったようだ。ただ「中身の濃さで,だれもが納得してくれた」という。
「東大の新入生の英語力をみていると,リスニング力やライティング力は伸びているが,リーディング力が落ちている」と菅原克也教授は話す。ただし,冒頭に書かれているとおり「これは受験参考書ではありません」。
280語を学ぶことで語彙(ごい)力を強化し,総合的な英語力を豊かにすることを目的とした“お勉強本”だ。効果的な学習のために「例文が知的好奇心にこたえるものでなければいけない」などと,計6人の教授と准教授が議論しながら編集作業を行った。「自分自身の勉強にもなった」と,トム・ガリー准教授は話す。
菅原教授は「学内では,売れていることよりも,ネコのキャラクターにヘソがあるのがおかしい,と話題になっています」と笑わせる。
全国的に売れているそうで,読者層は40〜50代が中心。当然,続編も期待されるが,能登路教授は「少し休んでから」と話していた。(松垣透

産経新聞の4月21日付記事からです。随分前にAmazon経由で手に入れていたのですが,紹介が遅くなってしまいました。
タイトルにとてもインパクトがありますが,中身は受験参考書ではなく,むしろ大学以降の実用英語のための単語集です。取り上げられている単語はそれほど難しいものではありません。おそらくは大学受験レベルかそれより少し上という程度です。しかし取り上げられている単語はどの分野の英文を読み書きするのにも必要な語彙であり,そうした語彙を再確認する用途に使えます。
また本書の特色として,単語の使い方に焦点を当てた解説が充実していることがあげられます。個別の単語の説明では,語義を丁寧に説明し,また複数の例文をあげることで,その単語が持つニュアンスを伝えようとしています。さらに各章末のコラムでは,類似の単語を集めた上でそれらがどのような使われ方をするのか,また違いはどこにあるのかを分かりやすく説明しています。こうした情報は特に英語のライティングの際に役立ちそうです。
本書の内容に依拠したオーディオファイルはiTunesなどで配信されているようですし,類書も登場し始めているようです。こうした単語集は汎用性が高いので,今後とも本書に続くようなものが出てきてくれればと思っています。