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Konstanz als Heimatstadt

飛行禁止(2)

 【ロンドン会川晴之,ブリュッセル福島良典】欧州連合EU,加盟27カ国)の行政府・欧州委員会は18日,欧州航空産業やEUの域内経済に対する影響についての調査に着手することを決めた。19日には加盟国運輸相がビデオ会議を開いて対応を協議する。
ブルガリアは18日朝から飛行禁止区域を全土に拡大したほか,英航空当局も,運航禁止時間を再延長するなど,各国航空当局による規制が続いている。
欧州航空交通安全機関によると,18日に運航予定だった域内2万5000便のうち,2万1000便が欠航の見通し。
国際民間航空機関の報道官は空港閉鎖や欠航による影響が米同時多発テロ(01年9月)時を超える可能性があると述べた。国際航空運送協会によると,航空産業の減収は1日当たり少なくとも2億ドル(約185億円)に上るという。
火山活動は依然として続いており,今後数日間は,事態は改善しない見込み。19日にルクセンブルクで開かれる予定だったEUの農業・漁業相会議の中止も決まった。一方で欧州各国では航空機の試験飛行を実施して火山灰による運航の影響を調べるなど,運航再開を模索する動きも出始めている。
オランダのKLMは17日に続いて18日も試験飛行させる計画だ。ドイツのルフトハンザ航空も,ドイツ国内で通常より低い高度で有視界飛行による試験飛行を実施した。
試験飛行に同乗したKLMのハートマン最高経営責任者(CEO)は17日の声明で「飛行中も,飛行後の検査でも特に問題はなかった」と述べ,「(航空当局から)可能な限り早期の運航再開許可を得たい」と意欲を示した。エールフランスも18日,試験飛行を実施した。
だが,オランダ運輸省は,試験飛行は許可するものの,飛行禁止を継続する。各国の航空当局が慎重なのは,火山灰の影響で過去に旅客機エンジンが停止したことがあるためだ。89年には,アラスカでKLMのボーイング747旅客機の四つのエンジンがすべて停止して急降下。低空でエンジンは再起動したが,エンジンや機体に大きな損傷が出た。82年にもインドネシア英国航空シンガポール航空の旅客機のエンジンすべてが停止したことなどがある。

毎日新聞の今日付記事からです。飛行禁止措置がとられてから5日目に入りました。火山灰が南ヨーロッパまで流れ込んできたため,チューリッヒ空港も閉鎖になっています。
他方で,飛行再開を求める動きも強まってきているようです。土曜日と日曜日にドイツのARD(公共放送)ではこの問題をめぐる特別番組が放送されていましたが,そのトーンは明らかに異なっていました。土曜日の段階ではアイスランドの火山の現状や,今後どのように火山灰が動くかといったことが中心でした。しかし日曜日になると,テスト飛行したルフトハンザ機が何の問題もなく着陸したこと(コックピットで機長にインタビューしていました)や,本当にドイツの上空に火山灰雲(Aschewolke)がやってきているのか調査しているといったことが報道され,最後にはルフトハンザ航空の担当者とドイツの連邦交通大臣がお互いに自分の主張をぶつけ合っていました。航空会社側は,火山灰の影響はあくまでイギリスの観測結果をコンピューターシュミレーションしただけであること,実際のテスト飛行では何も問題がなかったこと,これ以上運行再開が伸びると打撃が大きすぎることなどを主張していました。これに対して交通大臣は,安全が最優先されること,この措置はEUレベルでの統一的な行動であることなどを強調し,早期の運行再開には否定的な意見を示していました。この意見のぶつかり合いは番組の司会者の制止もきかないほどで,およそ日本では見られない光景なのではないかと思いました。
今回の火山灰の影響が長期化している理由の一つは,降雨によって火山灰が地上に落下しないことにもあるようです。コンスタンツでは昨夜少し雨が降りましたが,皮肉なことに火山灰問題がおきてからのヨーロッパは全体として(この時期には珍しく)好天続きになっています。ドイツではイースター休暇とからめた休暇(Urlaub)を海外で過ごしている人がかなりいるそうで,この問題は社会的にもかなり影響が大きいようです。