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Konstanz als Heimatstadt

ストライキ

鉄道機関士労組GDLがドイツ鉄道(DB)を対象とする全国ストライキを4日,開始した。期間は10日までの約6日間で,DB史上最長。市民や通勤者の足に大きな支障が出ているほか,ドイツ経済へのしわ寄せも避けられない状況だ。GDLに対しては経営陣が提案した調停手続きの受け入れを求める声が政財界のほか,他の労組からも出ているが,憲法基本法)で保障された労組の権利が制限される恐れがあるとして受け入れをかたくなに拒んでいる。

FBCの5月6日付記事からです。ドイツではこのところ,様々な分野でのストライキが続いています。3月にはルフトハンザのストライキがあり,4月にはDBの機関車運転士によるストライキが一度ありました。5月に入って,DBのストライキはさらにエスカレートし,5月4日の週には,DB史上最長の1週間にわたるストライキが行われました。この間,ドイツの鉄道の2/3の旅客列車が運休したため,旅行者を中心に大きな混乱があったほか,貨物列車もかなり止まったため,物流にも大きな影響が出ました。その経済的な損失は極めて大きいと言われています。さらに,8日からはKITA(Kindertagesstätte)の全国ストライキが始まり,2/3以上の保育所・保育施設が閉鎖となって,子育てをしている親には大きな影響が出ています。郵便局のストライキも散発的に行われています。
確かに以前からストライキはありましたが,このところのストライキは生活に密着する分野で,しかも頻度も多いように思います。その多くは賃上げ要求や,短時間労働者の問題の解決を求めていますが,DBの場合には少々状況が違っています。現在,小規模労働組合の交渉力を小さくすることをも目的にした単一労働協定に関する法制化の議論が行われており,機関士の労働組合のGDLにとっては,自らの存在意義がなくなる重大な影響を持つものになっています。ルフトハンザの場合も,操縦士だけの労働組合ストライキを起こしていますが,もし単一労働協定に関する法制化が行われると,最大規模の労働組合が労働者側の利害を全て代表するような構造になるため,労働者間の利害対立が緩和され,ストライキが減少する可能性もあります。他方で,この法制化には憲法上の問題もあるとされており,仮に法案が成立しても,憲法裁判所に最終判断が持ち越される可能性もあるようです。
日本では最近あまり見かけなくなった(少なくともニュースになるほどの規模のものは減ってきた)ストライキですが,ドイツではまだまだ健在です。ドイツ人はストライキに対してどのような見方をしているのか聞いてみると,興味深い答えが返ってきました。ドイツでも,生活者・消費者にとってストライキは迷惑なものであるという感想が一般的なようです。他方で,ストライキをしている組合側は,ストライキが最終的には一般的な利益・公的利益のためになると主張し,その主張が生活者・消費者にもある程度受け入れられているようです。