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Konstanz als Heimatstadt

連邦大統領選挙

ベルリンで開かれていたドイツ連邦大会議は6月30日,同国軍の海外派兵をめぐる問題発言で大統領を辞任したケーラー氏の後任に,メルケル政権の連立与党の候補でニーダーザクセン州首相を務めてきたクリスチャン・ウルフ氏(51)を選出した。
与党内に造反が出たため,選出は難航し3回目の投票でようやく決着。経済政策をめぐる与党の内紛などで支持率が落ち込むメルケル首相にとって,指導力の一層の低下を露呈する結果となった。
ウルフ氏は,戦後ドイツで最年少の大統領。キリスト教民主同盟(CDU)本部副党首などを歴任,徳島県などと国際交流を推進した親日家として知られる。
連邦大会議は,下院議員と各州(特別市含む)代表の計1244人で構成。ウルフ氏は3回目の投票で625票を獲得し,野党の社会民主党SPD)と90年連合・緑の党が支持した旧東ドイツの反体制派牧師ヨアヒム・ガウク氏(70)の494票を上回った。(共同)

日刊スポーツの今日付記事からです。先月初めのケーラー大統領の電撃的な辞任を受けて,昨年に続いて大統領選挙が行われました。
ドイツの大統領はアメリカとは違って間接選挙で選出されます。投票は3回まで予定されており,2回目の投票までは絶対多数を取らなければ選出されません。CDU/CSU/FDPの候補であったChristian Wulff氏は本来の持ち票からいけば1回目の投票で選出されるはずでした。しかし選挙の前からいくつかの州のFDPが,Wulff氏ではなく,SPD/緑の党が推す旧東独時代の民主活動家Gauck氏を推すことを明らかにしていました。
このため投票は結局3回目までもつれ込みました。絶対多数は要求されない3回目の投票で,Wulff氏が絶対多数を獲得し,大統領に選出されました。
左翼党(die Linke)は独自の候補者を立てていましたが,最後までGauck氏を推すことはありませんでした。公式にはGauck氏と政策的に違いがあることを理由にしていましたが,左翼党はもともと旧東独の社会主義統一党であり,旧東独時代に対立関係にあったGauck氏は推せないと判断したのでしょう。逆にこの結果,FDPにも支持を広げたGauck氏が選ばれる可能性は低くなっており,結果的には事前の予測の通りになりました。
ケーラー大統領の辞任は日本の鳩山首相の辞任の直前の時期でした。日本ではドイツの大統領は潔いというコメントもあったようですが,ドイツではそのような見方は少なく,むしろ批判を受けて途中で投げ出したのは無責任だという見解の方が支配的でした。異例のやめ方の直後であっただけにGauck氏が保守にも支持を広げたということだったのかもしれません。