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Konstanz als Heimatstadt

平田達治・ベルリン・歴史の旅

ベルリン・歴史の旅-都市空間に刻まれた変容の歴史 (阪大リーブル025)

ベルリン・歴史の旅-都市空間に刻まれた変容の歴史 (阪大リーブル025)

ベルリンの様々な歴史物語を取り上げています。


人口規模に対して大都市の少ないドイツのなかで,突出した人口規模を誇るのが首都ベルリンです。本書はそのベルリンの歴史をたどりながら,特にドイツの近代史のダイナミズムに焦点を当てています。
本書はまず,森鴎外の『舞姫』が舞台としたベルリンの当時の様子を描くことから始まります。そして中世のベルリンを説明したあと,プロイセン王国の発展史とともに拡大していくベルリンの近代史を厚く語っています。かつてベルリンに行ったときに見たいくつかのモニュメントの裏にあった歴史物語がよく分かりました。
本書のハイライトは,第一次大戦以降の近現代史におけるベルリンです。とりわけ興味深かったのは,ベルリンにおけるユダヤ文化を扱っている171頁以下の記述でした。寛容から抑圧へと社会が転換する中で,ドイツという国も第二次大戦へと突入していく様子が印象的に描かれていると思いました。