- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/26
- メディア: 単行本
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「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが,筆者の描く拘置所での様子や取り調べの風景は(事実であるかどうかに関する読者の注意深い読みは必要ですが)かなりリアルで,それだけ読んでも興味深い内容です。食事は意外においしいとか,判子は使えないとか,ラジオのニュースはかなりおくれて入ってくるなど,知らないことばかりでした。行政法学の観点からは,拘置所での処遇の問題や検察のあり方の問題もまた興味を引くものでした。
同書のもうひとつの魅力は,ロシア・ロシア人に関するさまざまな情報が得られることです。筆者はロシアスクールの有力なメンバーであり,日ロ平和条約締結交渉に深く関わっていました。ロシア人は酒を飲まない人を信用しない(酒によってどの程度人格が変わるのか見ている),筋を通す人をロシア人は好む,といったロシア人気質についても同書の説明は極めて詳細です。ロシアに関心を持っている方にも同書の内容はおすすめできます。