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Konstanz als Heimatstadt

コムシティに続く再開発破綻

北九州市が進める八幡西区のJR鹿児島線陣原駅周辺の「東折尾土地区画整理事業」に絡み,市有地の借地料などを滞納している同区の不動産会社「セット」(鷲尾清次社長)は10日,福岡地裁小倉支部に破産手続きの開始を申し立てた。負債総額は約9億円で,債権者は市や金融機関など約70人。同地裁支部が手続きの開始を決定すれば,破産管財人による資産整理が行われるが,借地料などの支払いは困難とみられる。
同社は2000年10月から,同区陣原1の市有地約2ヘクタールを賃借し,環境共生型の複合商業施設「エコ・フレンドリータウン」を開発。温浴施設を運営するなどしていた。

読売新聞(地域面)の11日付記事からです。コムシティとはちがって組合自体ではなく,再開発によって建設された施設の運営会社の破綻ですが,その原因は,当初の予定通りに客が来なかったことにあるようです。
陣原駅周辺はもともとは東折尾貨物駅で,その廃止に伴って再開発が進められ,あわせて駅もできました。同じような経緯で現在再開発が進められているのが,JR千早駅周辺です。陣原地区の再開発の中核施設となったのは記事にあるエコ・フレンドリータウンとよばれるもので,駅の東側にあります。駅の西側にはマンションや保育所などがありますが,全ての土地が売却できたわけではなく,現在でも空き地になっているところが目立ちます。
エコ・フレンドリータウンは,駅の近くにあるごみ清掃工場の焼却熱を使ったいわゆる銭湯や飲食店などが入った建物でしたが,そもそもこの地域に対して温浴施設がどの程度のニーズがあると言えるのか,あるいは住宅からやや離れた同地域で商業がうまくやっていけるのか,できた当時から疑問がありました。この事業では市は定期借地契約を結ぶ方式をとっていたようですが,収入の不安定などからその滞納が続き,結局今回の事態に至ったようです。
コムシティでもそうでしたが,もともと景気が悪い時になされた再開発でさまざまな無理が生じていた上,その土地利用に際して地域のニーズ把握が的確になされているとは言い難い問題があるように思われます。