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Konstanz als Heimatstadt

松原宏・経済地理学

経済地理学―立地・地域・都市の理論

経済地理学―立地・地域・都市の理論

新しい経済地理学の教科書です。


高校の地理で勉強するチューネンの孤立国という知識があります。これは,市場からの距離によって生産物の種類がかわってくるという考え方で,教科書ではほぼ同心円状にえがかれたチューネン圏と呼ばれる図が決まって出てきます。
本書は,このチューネンの孤立国が示している立地の理論を中核に,経済地理学を体系的・理論的に説明することを試みた教科書です。農業立地・工業立地の話に続いて,都市論や都市集積の理論についても基本的にはこの枠組に依拠して説明が続きます。実はこの教科書のもとになった(であろう)授業を,学部時代に受けたことがあります(教職のための集中講義でした)。地理は高校時代あまり好きな方ではありませんでしたが,この集中講義では,アドホックに地誌を語るのではなく,そこにどうやって一般的な考え方を見出すのかに配意した授業がなされていて,今でも印象に残っています。
今回,この教科書が出版されたのを機に,この内容を思い出すべく読んでみましたが,さすがに細かい部分の議論は忘れていました。ただ,立地の理論と都市集積の部分は読み返してもおもしろい議論だと感じました。