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Konstanz als Heimatstadt

スイス・オーストリアの遠距離公共交通

スイス・オーストリアの鉄道のしくみもドイツに似ています。

スイスの鉄道

スイスは鉄道交通の国として有名です。スイス人はしばしば鉄道の話題を話したがりますし,スイスの新聞にも鉄道関連の情報がしばしば掲載されています。長距離公共交通に関しては,スイスにおいては唯一鉄道だけが存在しているといっても過言ではありません。
スイスの長距離輸送を担っているのはSBB(スイス国鉄)です。ドイツと似たような列車の種類がありますが,少し違うところもあります。
ヨーロッパでは珍しい電車特急のICN

  • IC: Inter City(特急) スイスにもドイツから乗り入れたICEが走っている区間がありますが,基本的にIC扱いなので,特別な料金なしに乗ることができます。
  • EC: Euro City(国際特急) スイスからドイツ・オーストリア・イタリアといった近隣諸国に向かって走っていく特急はECと呼ばれます。
  • ICN: Inter City Neigezug(振り子式電車特急) 利用する感覚としては「急行」「準急」といった感じです。かつてコンスタンツまで走ってくる列車はICNでしたが,一昨年冬の改正でICNがなくなってしまいました。今でも時々車両としてはこのICNの車両で走ってくることがあります。
  • IR: Inter Regio(快速) ドイツでのIRE/REにあたります。現在コンスタンツに走ってくる列車はこのIRに変わりました。
  • R: Regio(普通) 近郊電車(Sバーン)が走っていない地域の普通列車はRegioと呼ばれています。

スイスの列車の切符はかなり高いです。ドイツと同じ割引カードのしくみがあり,Halbtaxというカードを予め買っておくと,半額になります。個別の乗車が無料になるタイプのカードもありスイス人はよく持っています。スイスでは近距離交通に関してもスイス国鉄の系列で運営されていることが多く,この場合には券売機で1/2というボタンを押すとやや安く買うことができます(必ずしも半額にはなっていません)。スイスの切符もネットで買うことができますが,窓口で買っても同額です。スイスには特急料金がなく,どの列車に乗っても値段が変わりません。往復割引もないので,一日乗車券(Tageskarte)が使えるほど遠いところに行かないと,割引のメリットは受けられません。これに対し,指定席と自由席のしくみもドイツと同じです。スイスの場合にはすべて紙で表示されます。
スイスの鉄道の特色は2つあります。1つは「遅れが少ない」ことです。ドイツと比べると本当に遅れが少ないです。その理由はいくつかあります。1つはそもそもダイヤが余裕を持って組まれていることです。駅での停車時間が長くとってあるので,多少遅れても回復します。もう1つは予備の車両を持っていることです。遅れが大幅になると,途中の駅から代替列車を走らせて遅れをなくします。特色の第2は「車内放送が多国語」であることです。出発・最終到着駅では,ドイツ語・フランス語・英語での放送が入ります。ドイツ語圏ではドイツ語→フランス語の順番で,フランス語圏では逆の順番で車内放送が入ります。

オーストリアの鉄道

オーストリア国鉄が誇る高速列車RJ
オーストリアの長距離交通を担っているのはÖBB(オーストリア国鉄)です。スイスは高速列車を走らせない方針をとっていますが,オーストリアにはRailJet(RJ)という高速列車があります。ただ,日本の高速列車とはちがって機関車で客車を引いていくタイプのもので,スピードは専用軌道を走っている場合には最高で200キロ程度です。オーストリアにもカードによる割引制度があります。オーストリアの車内放送は一般に聞き取りやすいです。車内の放送設備は三ヶ国の中で一番近代的です。また,オーストリア国鉄のホームページでは特急についてはリアルタイムに走行時刻を見ることができるので,遅れがどのくらいになるかが駅に行かなくても分かります。