ernst@hatenablog

Konstanz als Heimatstadt

ドイツのトイレ

日本とドイツの大きな違いは「トイレ」にもあります。


よく知られているようでもあり,あまり知られていないような気もする両国のトイレ事情の違いを素描してみます。
まず単体としてのトイレに注目すると,ドイツには和式便所はありません。全てのトイレは日本風に言えば洋式です(当たり前といえば当たり前ですが...)。また僕が知る限りドイツには「暖房便座」はありません。そのためいわゆる洗浄機能の付いたトイレ(ウォシュレット・シャワートイレと呼ばれるもの)もありません。日本では,公衆便所の中でもウォシュレット・シャワートイレに人が集まる傾向がありますが,ドイツではそもそもどこにいってもトイレが同じなので,そういった事態は起こりません。暖房便座がないのは寒いドイツでは意外だったのですが,ドイツではどのトイレにも普通,トイレ全体を暖房する装置があるので,便座だけを温めるという必要性がないと考えられているのかもしれません(あるいはそもそも便座だけを温めるという発想がないのかもしれません)。
ドイツの駅ではトイレにも一苦労
次に,トイレの配置,とくに公衆トイレの配置に注目すると,ドイツの町中にはとにかく公衆便所が不足していることが痛感されます。コンスタンツの場合,駅にあるトイレと,デパートにあるトイレと,大型ショッピングセンター(LAGO)のトイレが思いつく程度で,それ以外にさっと立ち寄れるトイレは非常に少ないです。観光地になるとその傾向は一層顕著になります。日本のように大型店舗の各階にトイレがあるという風景はまず見られません。これらの公衆トイレのかなりの比率はチップ式のトイレであり,人が立っていたり自動の徴収機が設置されていたりします。駅のトイレも特に大きな駅になると入口のところでチップを払わないとそもそも入場ができないようになっていますし,そうでない場合でも男子小便器だけは無料で,あとの個室の鍵はコインを入れないと開かないようになっていたりします。公共交通機関の場合には紙幣でも何とかなりますが,トイレの場合,とくに人がいないときには小銭がないと非常に苦労することになります。
そこで,人々はどのようにトイレと接しているのかを見てみると,トイレがある場所ではトイレに行っておく,という鉄則が見られるように思われます。例えば鉄道車両の中のトイレは日本に比べると利用率が高いように思われます。駅に着いてしまうと有料になるので人間の心理としては当然かもしれません。あるいは食事やカフェで立ち寄ったお店では,店を出る前に必と言っていいほどトイレに行っています。こうした習慣は,公衆トイレに乏しいドイツならではと言えるのかも知れません。
もちろんドイツにも無料のトイレは時々ありますが,多くはかなり荒れ果てており,水道が出なかったりすることも珍しくありません。そう考えてみると,日本のトイレはほとんどが無料でありながら,ある程度の秩序が保たれていることが,ひどく立派なことのように思えてきます。